順天堂医院 春の先端医療体験レポート

幼い鼓動のために 3日目:心臓血管外科

朝から夕方まで手術部で過ごすなか、「新生児の心臓手術が強く印象に残りました」と生徒たちは口をそろえます。心臓の循環異常を再建しないと命が危ないケースでしたが、中西啓介医師の執刀により手術は無事成功。術後に行われた家族向けオンライン説明で、母親が声を震わせる場面も生徒たちの心を捉えました。

手術、手術、そして手術。先天性心疾患を抱える多くの子供たちの手術をしてきた中西医師ですが、学生時代の経験が大きく影響してこの道を選んだそうです。

「もとは小児外科志望だったけど、学生時代にたまたま子供の心臓手術に立ち会う機会がありました。10時間もかかる手術だったけど、チアノーゼで真っ青だった唇が手術後はピンク色になって、見た目も元気そうになっている。執刀医がご両親に『これでこの子は健康な大人になりますよ』と言っているのを見て、“自分もいつかこう言ってみたいな”と。もう大学5年生だったけど、心臓外科に方向転換しました」

1日4件の手術も苦にならない、子供たちを救うことにやりがいを感じるから――。
夜の医師控室で、生徒2人にこう明かした中西医師は自ら子供を持つ父親です。
家族写真を見せながら、「妻任せになっていることが多いけれど、帰宅すれば洗濯とかできることはやっている。自分が幸せにならないと、人を幸せにすることはできないんじゃないかな」と語りました。

中西医師の心臓手術を見学

生後間もない赤ちゃんの術後は強く印象に残っています。オンラインの画面越しに、母親はずっと中西先生への感謝を口にしていました。医師のやりがいは命を救うだけでなく、患者の周りの人たちをも笑顔にできることだと分かりました。


小児医療に関心のある私にとって、中西先生の手術前説明はメモするポイントが本当に多かった。手術のリスクを説明すると涙を流す親もいました。でも中西先生の伝え方、コミュニケーションのとり方には愛があると感じました。


【午前】生後8か月の赤ちゃんの心臓手術を見学
【午後】生まれたばかりの赤ちゃんの心臓手術を見学--夜、人工血管の縫合と糸結びの手技練習--中西啓介医局長とともに3日間の振り返り