DrX!セッション 大村和弘医師in長崎 開催!

中高生のためのハイブリッド・セッション「Doctor X!シリーズ第3弾」を2月25日、長崎県大村市のミライon図書館で開催しました。会場には県内の中高生と医学生ら約90人が参加、県内外の生徒ら18人もオンラインで加わり、お互いを刺激しあう6時間近いセッションとなりました。

今回、講師に迎えたのは鼻腔や脳の最深部にできた悪性腫瘍を切除するスペシャリスト、東京慈恵会医科大学病院の大村和弘医師。国内では内視鏡を駆使するE難度の手術に取り組む一方、医師4年目からは東南アジアに赴き現地の医師たちに手術指導を行っている「二刀流ドクター」です。

「あなたたちは何にでもなれる。自分の可能性を現段階で抑える必要は1ミリもない!」

冒頭から熱く語りかけた大村医師の言葉に聞き入るのは、医師になりたい、国際支援に関心がある次代の担い手たち。セッション参加に際し全員が大村医師のドキュメンタリー映画『Dr.Bala』(ミャンマー語で力持ち先生)を視聴して準備万端です。

第1部で、「医学の学びが多様化・グローバル化し、医療の在り方も先が見えなくなっている」と紹介した大村医師。そんな時代においても、確実に言えることが一つだけあると会場に投げかけました。それは何か? 生徒たちの関心をグッと引きつけてから伝えたのは、「高い技術こそが人を笑顔にできる」ということ。続けて、「高い技術になればなるほど違う景色が見え、レベルの異なる患者さんの笑顔と出会うことができます」と自らの経験を交えて話しはじめました。

「グローバルって何?」3人グループで話し合う会場の生徒たちと、オンラインで参加する生徒たち

大村医師が一方的に話す企画ではないと生徒たちはすぐに気がつきました。「グローバルになるって何?」「なぜ2番じゃダメなの?」などと大村医師は会場に問いかけ、時にはグループで話し合い、さらに発表することを生徒たちに求めるのです。挙手が少ないと、「ここで手を挙げないで、いつ手を挙げる?」とはっぱをかけます。

インタラクティブな時間を過ごすうちに生徒たちのマインドも変わり、第2部の質疑応答ではほぼ全員が挙手。

「医師として働くなかで辛かったことは?」
「中高生のうちに具体的に何をすべきですか?」
「仕事と家族との時間を両立する秘訣は」
 
東京や愛知、大阪、佐賀などからオンライン参加する生徒たちも会場に負けていません。Zoomのチャット欄には大村医師への質問があふれました。

会場の生徒の質問に答える大村医師
積極的に手を挙げる生徒たちと、オンラインの生徒に語りかける大村医師

第3部は外科手術で欠かせない糸結びにトライするワークショップです。

大村医師が実演する様子が会場スクリーンに映された後は、生徒たちの番。手術用の糸の代わりにタコ糸を使って実際にチャレンジします。長崎大学医学部の学生ら10人がサポーターとして活躍、大村医師と一緒に会場を回り、糸の結び方を手取り足取り教えてくれました。島根大学と藤田医科大学の医学生もオンライン参加の生徒たちを指導してくれます。

両手結びを教える大村医師
お互いに教え合って糸結びにチャレンジ、医学生もサポート

第4部はグループ別ディスカッション。
会場は9グループに分かれ、オンライン参加生徒もそれぞれのグループに加わります。第1部と第2部の感想を共有したうえで、医学生が提案した3つの視点「世界と地域医療の共通点、相違点」「医師になるための力」「国際協力のスタンス」について話し合う時間です。医学生のサポートを受けながら1時間にわたり各グループで話し合い、最後は各グループの考えをまとめて全体に向けて発表しました。

付箋に自分たちの考えを書き込み発表に向けて準備
オンラインの生徒も参加、医学生のファシリテートでディスカッションが進んだ

生徒たちの発表を聞いた大村医師は、講評として次のように呼びかけました。

「現在、不可能だと思われていることは、これまでの人たちの限界。君たちは、それを可能にすることができる。おかしいなと思うことを見つけたら、それを少しずつ変えていくアクションを起こしてほしい。自分の可能性を閉ざさず、ベストを尽くして少しでも世界を良くしてほしいと思います」

あっという間に5時間半のセッションが過ぎ、参加者からは

「『自分で自分の可能性を抑えてはいけない』という大村医師の言葉が刺さった」
「医学部受験のためだけでなく、なぜ医師になりたいのか、どんな医者でありたいのかを自分に問い続けたいと思った」
「医師になりたいという目標がプレッシャーでもあったが、大村先生の話を聞いて不安が消えた。救える命がたくさんあると信じて頑張りたい」

などの声が聞かれました。また、

「他の生徒が具体的な将来像を描いていることに驚いた」
「地域医療について、都会に住んでいる高校生の考えを聞くことができて良かった」
「グループディスカッションが新鮮で楽しかった」

という感想もありました。「長崎の離島医療に関心がある」「国境なき医師団で働きたい」──さまざまな目標をもつ他の高校生と意見を交わす時間は良い刺激になったようです。

大村医師を囲んでの記念撮影と、会場となったミライon図書館